5 地域医療支援病院について

◆37番(稲川和成議員) 質問の5に移ります。

 5 地域医療支援病院についてお伺いします。
 誰もが、けがをしたり病気になったりはしたくないものです。しかし、どんなに健康に気をつけていても、いつ何時病気になるかわかりません。そのようなとき、身近で気軽に相談できるお医者さんがいれば安心です。そのような日常的な診療や健康管理等を行なってくれる医者がかかりつけ医です。
 国でも、平成28年度診療報酬改定の中で、身近で頼りになる総合的な能力を持つ、かかりつけ医の一層の強化を図ることを基本的視点として盛り込んでいます。また、国は、患者の病気の内容や程度に応じて医療サービスを提供する形態として、一次医療・二次医療・三次医療の3つに分類し、かかりつけ医は主に一次医療に従事して、入院医療が必要な二次医療や救命救急などの重篤な患者に対する三次医療については、かかりつけ医では対応が難しいため、二次・三次医療を担っている大きな病院に、いつでも患者を紹介できる体制を整備するよう推進しております。
 そのため、市民にとって安全・安心な医療を実現していくためには、かかりつけ医が全般的な健康状態を把握し、もしも急遽、入院治療の必要性が生じた場合には、速やかに急性期医療や高度医療が可能な病院に引き継ぎができるように、地域での円滑な医療連携体制を整備していくことが重要です。かかりつけ医とともに、こうした地域の医療連携体制を整備していく上で重要な役割を担っているのが地域医療支援病院です。
 地域医療支援病院は、原則としてかかりつけ医から紹介された患者を優先的に診療する役割を担っているため、患者が紹介状を持たずに診療を希望した場合、初診時選定療養費の支払いが別途必要になり、そのためかかりつけ医がいない場合、患者にとっては費用面で負担になるという懸念があります。
 しかし、かかりつけ医を受診するべきである症状の軽い患者が数多く受診することで、本来担うべき、より重篤な患者に高度な専門診療を提供する機能を損なう弊害を防ぐ効果が期待できます。
 本市では、済生会川口総合病院が平成20年8月に、埼玉県から地域医療支援病院の認定を受け、地域の診療所や病院と医療連携登録を行い、完全紹介制に基づいた医療連携に取り組んでいます。本市におけるかかりつけ医と地域医療支援病院との医療連携体制をより推進し、市民が住みなれた地域で安心して生活することができるようにするためにも、医療センターが本市の中核病院として地域医療支援病院の認定に向け、取り組む必要があると考えております。
 そこで質問します。

一般質問稲川先生似顔絵 (1)医療センターの今後の取り組みについて

 限りある医療資源を市民に公平に提供するためにも、地域医療支援病院の認定を受けるべきと考えますが、いかがでしょうか。

(2)地域医療支援病院になった場合の影響と効果について

 これまで述べましたように、地域医療支援病院は、医療連携体制を充実させていく上で大変有益な取り組みでありますが、市民にとってどのようなメリットがあるのかお尋ねいたします。

一般質問答弁用

◎奥ノ木信夫市長 稲川和成議員の力強い御質問に御答弁申し上げます。

 5番の(1)、議員御指摘のとおり、国は身近な診療所と病院の適正な医療連携を推進しており、診療報酬面においても新たな算定項目を設けるなど、かかりつけ医の普及・啓発に努めております。
 一方、現在の医療センターの状況は、一次医療の軽症患者の外来診療に多くの時間と労力が費やされることで、本来の役割である二次・三次医療について、十分な機能を果たしているとは言えない状況にあります。限られた医療資源を適正に供給していくためには、一次・二次・三次医療の適切かつ重層的な地域医療システムを構築することが重要であります。
 そのためには、医療センターが地域医療支援病院の承認を受け、軽症患者が対象の一次医療はかかりつけ医が担い、かかりつけ医では対応困難な二次・三次医療の患者を積極的に引き受ける体制を整備する必要があると考えております。
 そこで、川口市医師会等と調整を図るとともに、既に地域医療支援病院の承認を受けている済生会川口総合病院の実績を参考に、地域医療支援病院の基準要件を満たすべく積極的に取り組んで参ります。
 以上です。

 

◎大塚正彦病院事業管理者 御答弁申し上げます。

 (2)でございますが、医療センターが地域医療支援病院となった場合、初診で紹介状がない患者さんには、初診時選定療養費として現行の2,160円から5,400円に増額となります。しかし、今まで以上にかかりつけ医と医療センターの役割が明確化されることで、高度・専門医療を必要としている入院患者や緊急性の高い重篤な患者をより多く受け入れられることから、結果的に市民の安全・安心だけでなく、一次医療を担当しているかかりつけ医を支援することにつながります。
 さらに、軽症患者の受診数は減少しますが、今まで以上にかかりつけ医から紹介される入院患者が増えることで、収益の増収が見込めるものと考えております。
 以上でございます。