7 農地の保全と農業の振興について
◆37番(稲川和成議員) 田園的自然環境を有する、安行近郊緑地保全区域に指定されている本市の当該区域であるからこそ、積極的に緑化を求めていくということがわかりました。
また、認定要件を満たすために事業者によって設置される緑は、その後、土地所有者の方に適切に管理していただくことで、本来の機能を発揮することができるものであると思われます。ぜひ、当該条例を適切に運用することで、都市的土地利用と緑の保全の両立を実現していただきたく思います。
では、次の質問に移ります。
大きな7は、農地の保全と農業の振興についてであります。
毎年8月1日を基準日として行われる平成30年の農地基本台帳整備に係る調査の結果によると、市内の農地は423.2ヘクタールで、この50年でおよそ5分の1まで減少し、現在の内訳としては、市街化区域内農地が263.7ヘクタールで、市街化調整区域内農地は159.5ヘクタールとのことであります。
御案内のとおり、市内の農地の多くは市街化区域内にあり、当然、市街化区域はおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域であることから、減少の一途をたどっております。
一方で、市街化調整区域内農地は、原則転用が可能となる第2種及び第3種農地が大部分を占め、東京に接していることや東西南北に主要幹線道路が通る恵まれた立地条件であることなどにより、資材置き場や駐車場等への転用が進むなど、減少は避けられない状況にあります。
こうした中、平成27年に都市農業振興基本法が制定され、都市農地が「宅地化すべきもの」から都市に「あるべきもの」と位置付けられたことや、昨年には都市農地の貸借の円滑化に関する法律が制定され、都市農地・農業を取り巻く環境は大転換されました。
一方、本市においては、農家経済の活性化や農地利用の選択肢の拡大を図るため、市街化調整区域内の地区を限定し、農業振興に資する施設の設置を可能とする制度を導入するなど、全国的にも先駆けた取り組みが進められております。
都市農地・農業のあり方が見直されたことから、いま一度都市と共存する農地と農業の重要性を再認識し、施策を講じていかなければならないものと考えているところであります。

昨年、川口市農業基本計画にサブタイトルが付き、川口市都市農業振興計画として改訂されたところですが、市内の農地を保全し、農業振興策を推進するための農業行政のあり方について、基本的な考え方をお伺いします。
(2)都市農業の振興を目指した連携組織について平成22年に設立された全国都市農業振興協議会が発展的な解散をし、新たな組織が発足されたと聞いておりますが、その内容について、これまでの全国都市農業振興協議会における活動の成果なども含め、お伺いいたします。
(3)農地転用許可に関わる埼玉県からの権限移譲について昨年12月の埼玉県議会において「知事の権限に属する事務処理の特例に関する条例」が可決、改正されたことにより、本年4月から農地転用許可等にかかわる権限が本市に移譲され、今まで県知事による許可だったものが、川口市長の権限により許可がなされることになると聞いておりますが、改めて権限移譲の意義とこれからの事務の詳細について、お伺いします。
(4)川口市農業委員会の体制整備について(1)から(3)の質問、考え方を踏まえた4月以降の川口市農業委員会のあり方や体制はどのようになるのか、お伺いいたします。

◎奥ノ木信夫市長 7の(1)について御答弁申し上げます。
本市の農業行政は、平成23年に策定し、30年3月に改訂した川口市農業基本計画・川口市都市農業振興計画に基づき、将来ビジョンである50年後も「農が誇れるまち川口」を目指し、効率的かつ効果的に各種施策を講じ、農地の保全と農業を振興するために継続的に取り組んでいるところであります。
今後も、都市農業を取り巻く環境や法制度を踏まえ、川口農業ブランド制度の確立や輸出入対策の検討を進め、農家経済の活性化を主眼とし、販路拡大による農業収入の増加や担い手の育成などに取り組むとともに、市民農園の整備支援など、農業者を含めた市民の皆さんが望む、市民目線の農業振興策を推進して参る所存であります。
以上です。
◎五島淳一経済部長 御答弁申し上げます。
(2)でございますが、全国都市農業振興協議会は平成22年に設立されて以来、都市農業振興施策を積極的に展開し、平成27年の都市農業振興基本法の制定により、都市に農地は「あるべきもの」と大転換されたことに加え、その後も関連法令等が整備されるなど、都市農地・農業を取り巻く環境の向上に多大に寄与し、所期の目標を達成することができました。こうしたことから、今後は新たに発足された都市農業振興地方公共団体連絡調整会議において、当該協議会のスローガンや事業等を受け継ぎ、個別具体的な都市農業関連施策の研究・実行に向け、活動していくこととなったものでございます。
次に、(3)でございますが、農地法は、国民のための限られた資源である農地を農地以外のものにすることを規制しており、全国的に同じ判断基準で転用許可等がなされております。しかし、権限が移譲されることで本市のみの事務処理が可能となることから、現地調査や手続等の迅速化が図られるなど、市民サービスが向上されるものでございます。
なお、移譲される具体的な事務につきましては、農地を農地以外にする場合の許可事務に加え、権利設定・移転を行う場合や賃貸借契約の解約等をする場合の許可事務、さらには違反転用に対する許可の取り消しや命令等、処分を行うことになります。
次に、(4)でございますが、農業委員会は農地とその地域を守り、健全な発展に寄与するため、適正に農地行政を進め、担い手への農地等の利用の集積・集約化に加え、遊休農地の発生防止・解消など、農地等の利用の最適化を積極的に推進していくことが重要であると認識しております。
こうした中、本年4月1日に農地転用許可等の権限が移譲されますが、まちづくりにも影響を及ぼす権限であることを重く受けとめ、農政課と農業委員会事務局の役割を明確に分離し、事務処理体制の強化を図るため、所属長をはじめとする全職員を専任配置し、専門性の高い農地事務を適正的確に処理して参りたいと存じます。
以上でございます。