1 「言葉にならない愛」教育問題について

◆19番(稲川和成議員) 自由民主党の稲川和成です。
 まず、傍聴席にお越しいただいた皆様方、何かと御多用中にもかかわりませず傍聴くださいますこと、心より感謝申し上げます。また、インターネット中継を御覧の皆様、時間調整をいただきまして大変ありがとうございます。
 それでは、平成15年、初当選以来の私の政治活動スローガン「未来の宝、子どもたちのために」の実現を目指し、通告に従い、順次質問をして参ります。

一般質問稲川先生似顔絵

(1) 市立高等学校3校統合について

 ア 初代校長先生人事が最重要
 最重要課題を1つ挙げなさいと問われたら、私は初代校長先生人事が最重要であると答えます。これまで多くの議員から議会で質問があり、答弁を聞いていますと、当局の考え方には納得できません。県の制度、教員応募制度や教員人事希望表明制度、県教育委員会と連携をとり、全県から優秀な教員を募集するとしています。他力本願という感じです。校長先生とその両腕の核となる3名は、市長と教育長と小生が中心に、今から全力で物色すべきと考えます。当局の考え方をお聞かせください

 イ 理数科2クラスは多い、少数精鋭1クラスに
 質問イとしてお尋ねしますが、理数科2クラスは多いと考えます。少数精鋭1クラスでスタートさせるべきと考えます。

 ウ 私立全盛時代だからこそ体育科設置を
 そもそもこの3校統合事業は、私の同期生であった故千葉正明議員と私が平成17年12月定例会においてぶち上げた千葉稲川提案事業であります。基本理念は、将来有望な中学生が他市他県に流れるのは耐えがたい。入学を希望してもらえる新校を開校させるしかないが原点です。今年の甲子園埼玉県予選、地元県立川口高校は、ベンチ入り20人中18人が地元川口の中学校を卒業、きっすいの地元っ子チームがベスト4へ進出しました。全国より生徒を集めている私立高校と互角に渡り合うことができました。私立全盛時代だからこそ、高い志ある中学生を集める環境づくりをするべきです。お考えをお聞かせください。

(2) 平成24年度使用中学校教科用図書採択の結果より

 昨年8月4日の秘密会で、意見が2対2に分かれた歴史と公民についてお尋ねいたします。
 ア 歴史的分野について
 (ア) 歴史上の人物を教えられる教科書か
 まず、独立した人物コラムで大きく取り上げた歴史上の人物について伺います。
採択した東京書籍は8人で、永瀬委員長、小井土委員が推した育鵬社は63人です。学習指導要領は、「我が国の歴史に対する愛情を深め、国民としての自覚を育てる」、国家・社会の発展に尽くした「歴史上の人物」を、「その時代や地域との関連において理解させ、尊重する態度を育てる」と述べています。採択した教科書では、歴史に対する愛情を深め、歴史上の人物を深く学ぶことはできないと考えるがいかがか。

 (イ) 日本の神話を教科書で教えているか
 永瀬委員長が会議録18ページで指摘した神話の扱いです。採択した教科書のどこに書かれているのですか。「内容の取扱い」に、神話伝承などの学習を通して、当時の人々の信仰や物の見方などに気づかせるよう留意するとあります。神話無視の教科書でどんな教え方ができるのですか。

 (ウ) 江戸時代を正しく教科書は評価しているか
 採択教科書は、身分差別史観と一揆史観を強調し過ぎに感じます。江戸時代の身分社会は流動的な部分もあったと紹介する教科書のほうが、中学生にはふさわしいと感じるがいかがか。

 イ 公民的分野について
 (ア) 自衛隊の役割を教科書は明記しているか
 東日本大震災では、10万人体制を組み、不眠不休の活動で被災者の救援活動に当たり、災害が起きたとき、頼りは政府ではなく自衛隊であると多くの人々が痛感しているはずです。採択教科書は、まるで自衛隊は憲法違反の存在だともとれる書き方になっている。さらに、自衛隊の災害救助活動や自衛隊に対する国民世論について記述が見られない。また防衛費の移り変わりのグラフから自衛隊の増強に反対しているような書き方で、ふさわしい教科書とは思えません。

 (イ) 拉致問題について教科書は明記しているか
 採択した教科書で拉致問題がなぜ起こったのかわかりますか。拉致問題を人権侵害として捉えていますか。私は、平成20年9月定例会で、中学生にアニメ「めぐみ」を見せ、人権問題の教材とすることを提案しました。答弁は、「各学校に活用をお願いしている」とのこと、採択された教科書から拉致問題が人権侵害であると学ばせることができるのか疑問であります。

 (ウ) 天皇陛下は中立、公正、無私なお立場にあると理解させられる教科書か
 採択した教科書は、天皇陛下についての記述がたったの5行です。天皇を単なる象徴としか教えられないのではないでしょうか。この教科書で、天皇が直接政治にかかわらず、中立・公平・無私な立場にあることで、日本国を代表し、古くから続く日本の伝統的な姿を体現したり、国民の統合を強めたりする存在となっていることを説明できますか。

 (3) 地図教材について

 韓国、中国、ロシアと領土問題となっている竹島、尖閣、北方四島の位置が理解できる地図を、各中学校で使用していますか。日本固有の領土に対し、なぜ3か国は不法占拠や言いがかりをつけるのか。何種類かの地図を使った授業をしていますか、お尋ねいたします。

 (4) 川口市教育委員会委員について

 神山教育長さんに4点質問します。
 なお、永田委員長さんの質問ア、イについての認識を御存知でしたら、あわせて答弁ください。
 ア 河村名古屋市長発言について
 河村名古屋市長の南京事件発言を支持しますか。
 イ 領土問題について
 領土問題(尖閣、竹島、北方四島)について、どのようにしたいと思っていますか。
 ウ 平成23年8月4日秘密会会議録より
 昨年8月4日の秘密会会議録によると、2対2となった歴史と公民だけに注視したとき、教育長と永田委員長さんは、「推薦された教科書以外を採択したら現場が混乱する」、「現場の声を生かす」などの発言をされています。
 地方教育行政の組織及び運営に関する法律第23条第6項に、「採択権者は教育委員にあり」とされている。当時の永瀬委員長と小井土委員の発言こそが教育委員の発言です。教育長と永田委員長の発言は容認できません。なぜ妥協できなかったのですか。
 エ 委員任期より
 2期7年間の最大の実績は何ですか。反省点はありますか。次の任期で川口の教育をどのようにしますか。お答えください。

 (5) 中学校囲碁普及のあり方について

 第33回文部科学大臣杯少年少女囲碁大会が、7月31日、8月1日の2日間にわたって、日本棋院会館で行われ、中学生の部で西中学校1年生の中島光貴君が見事優勝しました。また9回目となる小中学校囲碁団体戦全国大会で、西中学校はベスト8に入り、入賞されました。昨年の飯塚小学校全国優勝に続き、市内の子どもたちは頑張っています。
 質問ですが、現在、市内27中学校で囲碁部と名のつくクラブのある学校は1校しかないと聞いております。顧問の教員確保等、諸問題のあることは認識しています。そこで提案ですが、放課後、各学校に囲碁教室を開いてはいかがでしょうか。
私の時代は帰宅部と呼んでおりましたが、何もクラブ活動をしていない生徒に「囲碁を覚えてみては」と声をかけたり、また運動部は、雨などで練習が中止になった場合、礼に始まり礼に終わる礼節を重んじる勝負事のゲームですから、精神力アップにも必ず通じるものがあると確信しています。想像ですが、授業が終わり真っすぐに帰宅し、テレビゲーム等で時間を過ごす生徒の生活は改善させるべきです。指導者については、日本棋院川口支部が全面協力していきますので心配御無用です。御見解をお伺いいたします。

一般質問答弁用

◎神山則幸教育長 それでは、お答え申し上げます。

 (1)のアについてでございますが、初代校長人事の重要性につきましては、十分大切なものというふうに認識をしております。その人事につきましては、現在の市立高等学校のよき伝統を理解し、新校の輝かしい出発に、十分その手腕を発揮できる人材を、幅広い選択肢の中から選択できるよう、時期を逸することなく進めて参りたいと考えております。
 次に、(4)のアについてでございますが、個人的な発言についてのコメントは差し控えさせていただきますが、南京事件については、今もなお多くの研究者により諸説あることの認識はいたしております。
 イについてでございます。議員お話しの領土につきましては、日本固有の領土であると認識をしておりますが、このことは国家間で議論を交わすことが大切であると思っております。
 永田委員長のアとイの意見や考え方につきましては、日頃から教育委員同士でさまざまな教育課題について意見交換をしておりまして、アとイのことにつきましては、永田委員長も私と同様な意見をお持ちであります。
 次に、ウについてでありますが、教科書採択に当たりましては、川口の生徒にとりまして、わかりやすく、使いやすいという視点で意見を述べさせていただきました。加えて学校経営に当たる校長先生や、直接、生徒の指導に当たります社会科の教員の意見を考慮することも大事なことの1つであると思って発言をさせていただいたわけでございます。最終的には教育委員の合意のもとに採択された教科書でございます。
 エについてでございますが、私は川口市教育委員会委員の1人として、毎年度、川口市教育委員会が定めました「教育行政の重点施策」の実現に全力で取り組んで参りました。川口市の教育行政は、私個人の力で進めるものでなく、個人の実績となるものでもございません。「事務点検・外部評価」などを通じて、よい評価をいただいた事業が教育委員会としての実績でございまして、至らないと御指摘いただいた事項が反省点でございます。今後とも教育の安定性と継続性を維持しながら、学校教育におきましては、川口市の子どもたちの確かな学力、豊かな人間性をはぐくむ、いわゆる智・徳・体の調和のとれた人間形成を目指し、また生涯学習活動においては、世代を超えた多くの市民が生涯にわたり学び続ける地域社会の実現に取り組み、川口市の将来を展望した教育施策の展開に全力を傾注し、職務に精励して参りたいと存じます。
 以上でございます。

◎柴田宏之学校教育部長 御答弁申し上げます。

 (1)のイでございますが、理数科2クラスの設置につきましては、産業都市としての本市の将来の発展をかんがみ、特に自然科学分野に能力を発揮できる将来のリーダーの育成の必要性を認識したものでございます。2クラスの設置により切磋琢磨する機会を数多く与え、優秀な人材をより多く育成できるものと考えております。
 次に、ウでございますが、新しい市立高等学校におきましては、文武両道にすぐれ、智・徳・体のバランスのとれた生徒の育成を目指し、普通科に加え理数科を設置する予定でございます。
 現在の市立3校においても、陸上競技部、ソフトテニス部、新体操部など多くの部活動で優秀な実績を上げております。新校建設に当たり、新たな施設の整備を契機として、さらなる飛躍を目指し支援して参ります。
 次に、(2)のアの(ア)でございますが、歴史を具体的に理解させるためには、歴史の展開の中で大きな役割を果たした人物を取り上げることが大切であると認識しております。御指摘のとおり、コラムの扱いは大きな差がございますが、本文を含めますと、現在使用されている教科書においても、主な歴史上の人物は取り上げられております。中学校におきましては、基礎的・基本的な知識の確実な定着が重視され、歴史学習の中心は、我が国の歴史の大きな流れを理解させることとされておりますことから、現在使用の教科書も学習指導要領の趣旨に沿って学習できる教科書であると捉えております。
 次に、(イ)でございますが、社会科の学習におきましては、さまざまな資料を活用する授業が実施されております。歴史学習におきましても、教科書だけで教えるのではなく、必要に応じて他の資料も活用しながら授業を行なっております。日本人として大切にすべき、人々によって語り継がれてきた神話を学習することにつきましては、教師の説明やその他の資料等も活用しながら、「当時の人々の信仰や物の見方に気づかせる」という学習指導要領の趣旨を踏まえた学習がなされるよう指導して参ります。
 次に、(ウ)でございますが、中学校学習指導要領解説社会編では、「身分制度が確立し、それぞれの身分の中で人々が職分を果たしたこと」に気づかせることと示されております。中学校の歴史学習では、我が国の歴史の大きな流れを理解させることが中心とされ、基礎的・基本的な内容の確実な定着が求められております。現在、使用されている教科書におきましても、江戸時代について学習指導要領の趣旨に基づき学習ができる教科書であると考えております。
 次に、イの(ア)でございますが、自衛隊につきましては、我が国の防衛や国際社会の平和と安全の維持のために果たしている役割等について明記されております。
具体的には、「日本の防衛」という任務に加えて、「東日本大震災の災害派遣」、「国連平和維持活動への参加」、「公海上での海賊対策のための護衛」等の内容が記載されております。今後も自衛隊の果たしている役割について、新聞その他の資料も活用しながら、学習指導要領の趣旨を踏まえた学習がなされるよう指導して参ります。
 次に、(イ)でございますが、現在使用している公民的分野におきましても、拉致問題について明記されております。拉致問題は、人権問題の課題の1つであり、学校教育におきましても児童・生徒にしっかり指導しなければならない問題であると認識しております。拉致問題の学習につきましては、教科書だけでなく、平成20年度議員に御提案いただいた人権啓発資料アニメ「めぐみ」等を積極的に活用して、理解を深める学習に取り組んでいるところでございます。
 次に、(ウ)でございますが、学習指導要領の解説では、「国民主権と関連させながら、天皇が日本国及び日本国民統合の象徴であることと、内閣の助言と承認によって行われる天皇の国事行為の特色について理解させる」と示されており、現在使用されている教科書においても、学習指導要領の趣旨に基づいた学習はできるものと考えております。
 社会科の授業におきましては、教科書に記載されている基本的な内容について、新聞、ニュース等の情報を活用し、具体的な事例を取り上げて理解を深めるよう努めております。
 次に、(3)でございますが、領土問題につきましては、日本を中心とした掛け地図あるいは地図帳のさまざまな地図を組み合わせながら活用して学習しているところでございます。
 次に、(5)でございますが、囲碁は知能を争うわざとして品位を重んじ、礼儀を尊び、対局上の作法を大事にする伝統ある競技と捉えております。中学生が囲碁を体験することは、集中力が高まると同時に健全育成にもつながると考えております。
教育委員会といたしましては、囲碁に対しましても、生徒が興味・関心を持てるよう、その普及について中学校の校長会等に働きかけて参ります。
 以上でございます。

一般質問稲川先生似顔絵数十点、再質問したいところなんですが、限られた時間でございますので、数点に絞り再質問と数点の要望をさせていただきます。
 まず、歴史教科書の答弁の中で、コラムでは取り扱っていないけれども、人物は教科書の中で取り扱っているという内容の答弁がありました。確かに採択した東京書籍にも、そうしますと約300人出ております。しかしながら、永瀬委員長と小井土委員さんが推薦した育鵬社さんは、数えたところ497人出ているんですね。
教科書が分厚いかどうかというと、ほぼ同じページ数なんです。それだけ永瀬委員長、小井土委員が推した育鵬社はすぐれものだと私はそう思っております。
 そこで、まず再質問の1本目ですけれども、東京書籍のコラムの一番最初の重要人物として取り上げているのがアテルイ、教育長、アテルイとは、そんなに取り上げるべき人物でしょうか。または、こっちの育鵬社さんのコラムの一番最初に出てくるのは聖徳太子であります。アテルイさんと聖徳太子を比較した場合、はるかに私は中学生には聖徳太子を重要視して教えるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
 そして2つ目、再質問をさせていただきますと、まず神話の学習であります。永瀬委員長、神話はどこにも出ていないと採択の現場で言っているにもかかわらず、教育長と永田委員さんは、東京書籍を推したわけであります。
 部長の答弁の中で、教科書以外の補助教材を使ったり歴史資料を使うというお話がありました。そうしますと、川口には27の中学校があって、各中学校でどの補助教材を使うというチョイスは現場に任せているという僕は認識なんですね。すなわち27の中学校で違う補助教材を使い、しかも現場の教師が歴史資料等、または新聞記事等を持ってくる。すなわち川口の中学生は、歴史においては教科書以外で、もちろん勉強させるというのは否定しませんが、それぞれ違う資料で勉強しているというわけであります。私はやはり義務教育である中学校の社会科の教育でありますので、公平性を持たせるべきだと思います。教科書に全く出ていない神話を、若い新米教師がどこまで教えられるのか疑問であります。再質問をさせていただきます。
 そして、3つ目の再質問としまして、公民のほうから1点取り上げますが、私は平成20年、横田めぐみさんの事件、DVDのアニメの「めぐみ」をぜひ中学生に見ていただきたい。拉致されたとき13歳、市内の中学生と同じ年であります。
 人権のことを考えるには、やはりめぐみさんが一番今、題材として、めぐみさんの御家族に対しては本当に申しわけないな、一日も早い救出を私も願っているところでありますが、学習指導要領の目標の1に、「国民主権を担う公民として必要な基礎的教養を」というのが1つ目に出ております。私はこのめぐみさん事件が川口の中学生に国民主権という視点から教えるのには一番いいのかなと。
採択した東京書籍には、めぐみさんのことは全然書かれておりません。育鵬社のほうには半ページを使って大きくこの拉致問題を取り上げております。この辺について再度、答弁をいただきたいと思います。
 そして今度は、地図教材のほうから数点、再質問をさせていただきます。
 恐らく今、川口の中学生は、この世界地図を使って勉強しているかと思います。
日本がちょうど真ん中の位置にあります。よく日本は極東だと言われております。この極東というのを、なぜ極東と言われているのかを、果たしてこの地図で説明できるかどうかは疑問であります。そして、きのうもサッカーのワールドカップ予選で対戦したイラクや、そして今、内戦状態に陥っているシリア、ここらを中東と呼んでおります。中学生に対して、この世界地図でどういう教え方をできるのかであります。私はやはり地図というのは何点か用意するべきだと思います。
 そこで1点、提案させていただきますが、東アジア地勢図と呼ばれている地図があります。これはどういう地図かと申しますと、中国の首都・北京の位置がここであります。この北京から太平洋を描いた地図であります。そうしますと、北京から太平洋を見ますと、日本の最北端であるこの択捉島から、ずっと北海道、本州、四国、九州、南西諸島と、まるで太平洋、中国大陸を防波堤のように守っていると。
見方を変えると、こういう見方になる。すなわち川口の中学生にもさまざまな地図を見せて、言葉だけではなくて学習することを私は望みます。この地図を見ますと、竹島がここにあって、尖閣諸島がここにあるわけなんですけれども、連日のように今、テレビニュース等、または新聞で取り上げております。やはり韓国から見て竹島、中国から見て尖閣、どうしても不法占拠や言いがかりをつけたくなる、地図からしてもそういう判断ができるのかなと思います。その辺について、このアジア地勢図の感想がもしありましたら、教育局、答弁をいただきたいと思います。
一般質問答弁用

◎柴田宏之学校教育部長 それでは、再質問に御答弁申し上げます。

 まず、(2)の歴史上の人物についてでございますが、教科書によって歴史上の人物の取り上げ方が異なる場合はございますが、中学校の社会科学習は、基礎的・基本的な内容の確実な定着を図るとともに、さまざまな資料を活用して、多面的・多角的に考察する学習が重視されておりますことから、現在の教科書も問題がないものと考えております。
 2点目ですが、神話の学習についてでございますが、いずれの教科書におきましても、個々の学習、事項を追うごとに記述の量は違いもございますが、実際の指導に当たりましては、一番の基本となります学習指導要領の趣旨に基づいて軽重をつけたり、必要に応じて補充したりすることが大切だと考えております。実際の授業におきましては、教科書に書かれている神話や伝承などをもとにまとめられた歴史書の古事記や日本書紀などがつくられましたという内容につきまして、資料集や教師が説明を加えながら指導をしているものと考えております。
 3点目でございますが、拉致問題につきましては、重大な人権問題であり、社会科だけではなく、人権教育に位置付けて学校全体で指導していかなければならないと考えております。特に本市にとりましては極めて重要な課題でありまして、アニメ「めぐみ」の視聴とあわせまして、市のホームページや、そこにあります「消えた川口の5人」という身近で具体的な資料を授業で活用しながら指導することで、拉致問題に関する子どもたちの理解を深めることができるものと考えております。
 地図教材についてでございますが、社会科の学習におきましては、さまざまな資料を適切に選択活用して、社会的事象を多面的・多角的に考える学習が重視されております。特に地理学習におきましては、さまざまな視点から位置関係を考えることは大切なことでありまして、先ほど御指摘いただきました地図教材についても興味深いものがあると考えております。実際に、授業でどのような活用が考えられるか研究して参りたいと考えております。
 以上でございます。


◆19番稲川和成議員 自由民主党の稲川和成

 部長が今、一生懸命答弁いただいたわけなんですけれども、正直よくわかりません。
  この教科書ももちろん大事なんです。ただ、私が問題視したいのは、各学校27校において補助教材が統一されていない。そして現場の教師によって、新聞または社会資料等、違うものを使っている。すなわちその担任の先生、誰に当たるかによって、川口の生徒の歴史観も大きく変わるのかなと。
  私の手元に、ある川口の高校生のコメントをいただいております。要約するとこんな感じです。「中学まで日本の悪い面ばかりしか知らなかった僕にとって、日本史のおもしろさがわからず、勉強していても苦痛だったが、本当の歴史を教えてもらいたい。日本人の人間性のよさがわかってきた。日本という国がますます好きになってきた」、これは先生の影響を受けて、高校に入って、中学のときは日本史の勉強はつまらなかったけれども、高校へ入っておもしろかったということであります。
  また、先ほど地図を見せました。日本という国は、陸地だけを見ると37万平方キロメートルということで、世界で61番目の国ですけれども、海の広さ、すなわち領海と排他的経済水域を足した面積というのは、何と447万平方キロメートルにもなるんですね。この広さというのは、世界で6番目の広さとなるわけなんです。北は択捉島から最南端は沖ノ鳥島まで約3,020キロメートル、最東にある南鳥島と西の与那国島、この距離が約3,143キロメートルとされております。実に広い国だということを中学生に、海洋国家日本であるということをしっかりと教えていただきたいなと。そして例えばこの冬の時期、最北端の択捉島がマイナス20度を下回る気温としたら、最南端の島になる沖ノ鳥島では、気温が約30度ということで、同じ国内でも50度の温度差がある。さらに、南鳥島と与那国島の経度の差が31度ということは、時差にして何と2時間もあるわけなんですね。小さい国家ではないわけなんです。その辺を夢と希望あふれる社会科の授業を推進していただきたいと思います。